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イベントの「時間配分」の考え方

時間に追われないのに、時間通り進められるコツとは?

イベントなど何らかの「場」を準備するときに、タイムスケジュールを作りますよね。当日は、ちゃんと時間通りに進められていますか? 時間に追われないのに、時間通りに進められる、ちょっとしたコツを紹介しましょう。

「ゆるやかな場」と「時間にルーズな場」は違う

イベントや講座などの「場」を持つとき、僕は大抵の場合「時間通り」に進めています。
結論から言うと、時間通りに進められるというのは、原則としてとても良いことです。

「時間になんか追われずに、ゆるやかにやりたい!」

こんな声も聞こえてきそうですが、ゆるやかにやることと、時間にルーズな場づくりをすることは、似ているようでまったく違います。

基本は「積み上げて」計算する

時間配分というのは、基本的に積み上げて計算します。

例えば、5人の人が順番に挨拶をするという場面。「1人あたり1分」で挨拶をしてもらいます。さて、挨拶の全体の時間枠は何分ですか?

「5分!」

というのは、じつは不正解です。「1人あたり1分」が厳密に守られても、壇上まで歩いて行ったり、マイクを渡したり、司会の人が指名したりする時間が必要ですよね。ここで5分と答えてしまう人は、実際には時間が余計にかかって、最後は時間不足に陥るはずです。

かといって、秒単位で積み上げて計算してしまうと、かえって時間管理の難易度が上がってしまいます。紅白歌合戦の司会進行みたいに、緊張感溢れる感じになるわけです。

コツは「動画でイメージする」こと

ここまでのコツをまとめます。

(1)“動画”でイメージする
まず、映画のシーンのように、動画でイメージしてみましょう。5人の人が挨拶すると、「隙間時間」があることが分かります。ぴったり1分ずつ、5人で5分! というような、非現実的な動きはイメージ出来ないはずです。

(2)隙間時間を5分単位で計算する
例えば、隙間時間が3~4分かな…と思ったら「5分」とします。6~7分かな…と思ったら「10分」とします。1分単位の時間管理が負担なうちは、こんな風に最低単位を5分にしてしまいます。

注意したいのは、「多めに考えればいい」ととらえて、動画でイメージせずに勘で決めると、時間が狂います。必ず積み上げましょう。

固定枠と調整枠でタイムスケジュールを組む

時間配分の組み方
時間配分のコツはとてもたくさんあるのですが、もうひとつだけ紹介します。
上記のような「積み上げ型」の計算が難しい場面です。

例えば…「子どもたちがアイデアを出し合って、アート作品を作る」──。楽しそうな企画ですが、子どもたちの取り組むことですから、あっという間に完成するのか、集中して長い時間じっくり取り組むのか、やってみなければ分かりません。

こういう場合は、タイムスケジュールを組むときに、2つに分けて流れを組み立てます。

・変更せず守る時刻…例では【 】で表記
・変更していい時刻…例では( )で表記

例は、1日通してのイベントの後半部分を想定して、タイムスケジュールを作ってみたものです。

大切なことをはっきりさせれば、調整が可能

解説しましょう。

「子どもたちの作品づくり」は13時からはじめて、15時に終わる予定です。その下に、「あそびの時間」があります。
「作品づくり」は時間が読めないので、様子を見て、終了時刻を早くしたり遅くしたりします。当日判断です。
「あそびの時間」は複数のあそびをする計画ですから、あそびの数を増減して、簡単に時間調整が出来ます。

時間が読めないコマの後ろに、調整枠が来るよう流れを組みます。

こういうタイムスケジュールが組めるようになるためには、「なにが大切なのか?」をはっきりさせておく必要があります。
13時からの「子どもたちの作品づくり」がメイン(一番大切)。「あそびの時間」も必要ですが、メインではありません。大切なことがはっきりすると、流れを考える前提が得られます。

子どもたちがのめりこんで、もっと「作品づくり」がしたいのに、「次はあそびの時間、もうおしまい!」と切ってしまっては、得られるはずの体験が損なわれてしまいます。クッションとなる「調整枠」が控えていれば、自由がききます。これなら「場」における自由を保障しながら、時間も守れます。

「時間管理」はやりたい場の実現のために、大切な要素

事前の時間配分、当日の時間調整、それぞれ大切です。

一番大事なところで、時間がなくなってしまう。全員に発言してもらう予定が、時間切れで話せない人が出てしまう。こんな「場づくり」ではいけません。時間管理はすごく大切です。

今回はちょっとしたコツをお伝えしましたが、時間配分については、考え方、やり方など、大切なことがまだまだたくさんあります。

(文・長田 英史)