場づくりはいつでもどこでも自分の内側から
場づくりは自分の内側に目を向けることから始まります。組織・流派など、所属しているだけで場づくりは始まるわけではありません。だから、自分自身が今いる場をよくすることも、抜けることも自分で選ぶことができます。たった一人でも信じられることは何か。そのことを自分の内側から見つけることで場づくりははいつでもどこでもはじめられます。
横断左翼論という考え方
「横断左翼」という言葉を教えてくれたのは、津村喬さんでした。
講座を終えた深夜、水道橋の寿司屋でレクチュアしてくれました。
(およそ20年前、津村さんといっしょに連続講座を企画していました。)
世の中には、「左翼団体」「右翼団体」と言われるような団体がある。また、社会を「左(革新=社会をより良く新しいものに変えていこうとする勢力)」と「右(保守=古くからの社会のあり方を尊重し守ろうとする勢力)」に分類するよう捉え方もある。
しかし、「横断左翼」という考え方は、とらえ方がまったく違います。
様々な団体や社会の諸活動のなかで、それぞれの「現場」で、左翼的な(よりよい社会へと変革する)動きが、意識的・無意識的に響き合いながら、本当に社会を変えていく力となる──。
近年は左とか右とか騒がしくなりましたが、これはそういう話とはちょっと視点が違います。左翼団体で活動するから「左翼」だと見なすのではなく、例えば極端な右翼的な団体のなかにも左翼的な動きをする人はいる、ということです。
「個人は組織よりも大きな存在だ」ととらえているとも言えますし、「いまいる場所でできることはある」という風にも受け止められます。「横断左翼」という考え方、ちょっとおもしろい考え方だと思いませんか?
たった一人でも信じられることは何か
社会貢献・社会変革を目指す団体に所属している人のなかには、所属していない一般の人より、自分が優れていると考えている人もいますが、あまりに短絡的ではないでしょうか。
「場づくり」は、いつも「自分の内側」から始まります。それは、どのような組織に属している人でも、そうでなくても同じです。
いま、社会貢献というのは、ファッション化が進んで、デザインが洗練されて、キラキラしていますよね(キラキラ系)。
でも、大切なのは一人ひとりの内側。一人ひとりのあり方です。
どこかの組織に属すことで保証される正義など、決して存在しません。
たった一人でも、自分が本当に信じられるものはなにか?
そういう孤独な問いを内側に持つべきですし、持っていいのです。
家族も恋人も友達も上司も部下も、みんなが「それは違うよ」と笑っても、静かに信じていられる確信が、だれにだってあるはずです。
外側ではなく、自分の内側に目を向ける
だから僕は、自分の所属する団体のことを悪く言う人に会うと、いつもとても残念な気持ちになります。
「その団体を抜けるか、それとも変えるか?」
どちらが正しいということはありませんが、この選択は100%その人の自由です。外で文句を言っていても何も変わりません。
もちろん、文句を言いたい気持ちになることはありますけどね(笑)。「行動したくてもどうしていいのかわからない」ということだってあると思います。
そんなときは、「場づくり」の哲学と技術が、きっとヒントになると思います。
・自分に合わない場から抜けて、自分で場をつくる
・いまいる場を、よりよい場にしていく
どちらも、価値のある選択です。
困難なのは、いっしょかもしれません。
やってみて「違うな」と思ったら、変えてもいいのです。それがどこでも、自分の内側の思いを尊重して行動をはじめれば、そこがあなたの「場」になります。そこが、あなたの「場づくり」の現場です。
「場づくり」は、いつでもどこでも、自分の内側からはじまります。
あなたらしい「場づくり」を、いま・ここからはじめてみませんか?
(文・長田 英史)