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仲間が見つかる!「通信づくり」のすすめ

紙の上の場づくりが、リアルな場づくりにつながる

活動している人、特にこれから始める人におすすめするのが「通信づくり」です。通信とは、ニュースレター・会報・機関誌・学級新聞・フリーペーパーのような情報媒体のこと。

「場が整ってから」と後回しにしがちな情報発信ですが、準備段階、まだ自分にとって半信半疑な段階で発行すると、思わぬ展開を引き寄せることが出来ます。紙の上の場づくりを、リアルな場づくりにつなげることが出来るからです。

個人で通信を発行したら

僕がまだ高校生のころ、個人発行の「通信」を出していました。どうしても伝えたいことがあり、やむにやまれぬ思いで、遅くまで勉強をした後で、原稿用紙にむかっていました。

……というのはウソで、「なんか新聞とか出したら楽しいのでは!」と思い、授業中にこっそりノートに書いて、それをコピーし、友人たちに手渡していました。ちなみに通信のタイトルは、『白血球』でした、たしか。意味不明ですね。なぜ白血球なのか、どんな気持ちで名付けたのか、もうまったく思い出せません……。

でも、読者である友人たちの反応は覚えています。親しい友人たちは面白がってくれましたが、ある号で最近読んだ小説のことを書いたとき、あまり話したことがない女の子から、「あの本、私も読んだよ!」と突然言われて、どきっとしたり。

通信にはふだんの学校生活では出さない部分が出ていたため、想定外の人と話が出来るようになりました。このように日常生活では表現しきれていない自分の内面を、楽しく「見える化」させる力が通信にはあるのです。

チラシよりも通信の方がランクは上!

何かのセミナーやワークショップで出会った人から、封書で手紙が届いたら、どんな気持ちがしますか? 昨今は住所などなかなか分かりませんが、会社宛やメールアドレスなどに「お手紙」が届くことはあるでしょう。

「先日の〇〇セミナーのグループワークで同じ班になった〇〇です。私は、〇〇のような場をつくりたいと思っています。もしよろしければ、ご一緒にいかがでしょうか?」

丁重な文章で、こんなお誘いが来たら…?ドンピシャのお誘いなら嬉しいですが、それ以外だったらちょっと重く感じる人が多いはずです。

・やはり返事は出した方がいいのか?
・封書で来たなら封書で返すべき?
・っていうかなんで自分に?
・これ班のみんなに出しているのかな?

もう色々考えさせられます。個人宛のお手紙は、圧が高いのです。

一方でチラシは、一対多なので、気楽に受け取れます。ただ、多くの場合、受け渡したことで嬉しいのは「渡した側」であって、「渡された側」ではありません。所詮、売り込みだからです。

その点、新聞の体裁を持っている「通信」は違います。まず、圧がぜんぜんありません。受け取る側からすれば、相手が一方的に開示する情報を、読み込んでもいいし、読まなくてもいいのです。

想像してみてください。自分が興味があるテーマのセミナーに行って、知り合った人から名刺をもらいます。その時に、通信もいっしょにもらったとしたらどうでしょう? 嫌だな、面倒だなと感じるでしょうか。相手の人があきらかに嫌な感じなら別ですが、多くの場合、「何が書いてあるのか、ちょっと興味あるな」と思うのではないでしょうか。

「実はこんな新聞出してるんです。よかったら読んでみてください!」と手渡せば、きっと相手もおもしろがって読んでくれます。相手に圧をかけず、自分のやりたいことを、ゆっくり伝えることができます。

通信は紙の上の「場」

通信は、時間や場所を越えてだれかと共有する、紙の上の「場」です。組織で発行出来るのはもちろん、まだ場がない「個人」でも発行できます。個人発行の通信なんて、それだけでちょっと目立ちます。

冒頭で「準備段階、まだ自分にとって半信半疑な段階での発行」がちょうどいいと書きましたが、通信も定期刊行物(決まったペースで発行する)にすることで、自分の場づくりに取り組む足場を持つことが出来ます。通信そのものも「場」ですし、通信を書く時間もあなたにとっての大切な「場」になります。

あなたがやりたいこと、やろうとしていること、半信半疑のなかで揺れ動きながら格闘しているところを、そのまま通信に書いてみませんか? あなたのことを知っているようで知らなかった周囲の人に自分の一面を掘り下げて開示することで、未来の仲間をみつけることが出来るかもしれません。

通信を発行するときのポイントと作法

では、通信を発行するためには、どうすればいいのでしょうか?

コツは「通信の体裁」を守ること。チラシなのか、メモなのか、わけのわからない紙きれなのか、それはどのような体裁になっているかで判断されます。内容ではありません。一番簡単なのは、あなたの好きな通信を集めてきて、それを真似してみること。

A4用紙でつくった簡単なレイアウト

・タイトル
・毎回変わる特集的な記事
・定番のコラムや連載もの
・これからやることの告知
・既にやったことのレポート
・編集後記
・奥付(発行者情報など)

このような基本構成要素が見えてくるはずです。

手書きでもいいですし、PCを使ってもいいです。(発行者が気にしているほど、読み手は気にしませんので!)

そして、決して忘れてはいけない、一番大切なポイントを最後にお伝えします。

それは「本当に思ったこと」を書くこと。

本当に思ったことを書かないと、仲間はみつかりません。
本当の思いが書かれているからこそ、共感も起こります。

通信は、あなたのつくる大切な「場」です。

(文・長田 英史)