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「場づくり」でもっとも重要な要素を知っていますか?
場づくりでもっとも重要な要素は、コンセプトでもスキルでもなく、場をつくる人=あなたです。自分が最重要の要素であるという自覚があるとないとでは、場がまったく変わってきます。
自己犠牲の主催者は意外と迷惑かも
「みんなが力を発揮出来る場にしよう!」
「みんなに居心地よく感じてもらおう!」
主催者としてこんな願いを持つとします。
その願いは構わないのですが、続けてこんな風に考えてしまう人がいます。
「だから、私は我慢しないと…」
自己犠牲的な精神の持ち主ですね。こういう人は間違いなくいい人です。でも、場づくりとなると、あまりうまくいきません。「主催者としての私の充実感」を抜きにしたり後回しにしたりすると、その人自身は「良い人」でも、「良い場」はつくれません。
かといって自分も参加者と一緒! ではダメ
別パターンで、こんな主催者もいます。
「私も一緒に楽しんじゃう! 後は知〜らない♪」
これはシンプルに、主催者失格です(笑)。場というのは主催者にしか出来ない領域がありますから、その部分については責任を負います。場のことを落ち着いて考えたら、そこまでやりたくなるはずなのです。
「わたし」という要素を場で活用する
「わたし」という要素を場で活用するためには、自分の「感じていること」を知る必要があります。
いま感じていること、あのとき感じたこと。
感じていることとは、喜怒哀楽のような諸感情、言葉にならない感情、身体感覚などが含まれます。激怒や大喜びのような鮮烈なものばかりではなく、下記のような言葉以前のフィーリングも含まれます。
「気が重いな…」
「なんかふわふわするな」
こういうひとつひとつを発見し、拾い上げるのが、「わたし」を活用する第一歩になります。
感じていることを知ることは自分を知ること
自分の感じていることを知ることは、自分自身を知ることにつながります。そして、そのことが自分自身のつくる場を深く理解し、それを尊重したり高めたりすることにもつながります。
だからこそ、「私」が一番重要な要素なのです。
もちろん、論理的に考えることも必要です。
しかし、考え過ぎ・考えっぱなしでは、感じたことがどんどん置き去りにされてしまいます。
ちなみに、「あなた自身=あなたの感じたこと」を、場づくりに活用するまでの流れは、こんな感じ。
【感じていたことを活用するまでのフロー】
無自覚に感じている
↓
感じていたことに意識を向ける
↓
感じていたことに気付く
↓
感じていたことを拾い上げ吟味する
↓
それを次のアクションにつなげる
感じたことを活用するためのトレーニング
ただ、「感じたことを活用しましょう」と言われて、戸惑いを感じる人もいるのではないでしょうか? 「感じること」を抜きにした場づくりや生き方に慣れきってしまうと、最初はちょっと難しいのです。
でも、例えばこんなことから始められます。
ひとつの現場(会議でも職場でもイベントでも)を終えたら、そこから離れて一人になります。そうしたら、その場を始めからリプレイしていきます。
「は? 部屋に入って、普通に働いただけですけど?」
みたいな感じだと、解像度が低すぎます。決めつける態度は、感じたことに蓋をします。ここでは時系列に沿って、丁寧に思い出してみましょう。
「部屋に入った瞬間は何を感じて、どう行動した?」
「いつどんなことが気になっていた?」
例えば、こんな質問を自分に投げかけて、その時感じていたことを思い出します。そして、それをノートなどに書いてみてください。
これは論理的に考えたり判定したりするのではなく、純粋に記憶を辿る(細かく思い出す)作業です。「やったこと」だけを振り返るのではなく、「その時に感じていたこと」を思い出すのがポイント。
そして、「ありのままを書く」のが大前提です。
感じたことの価値はすべて同じですから、良い・悪いと判断せず、平等に扱ってください。また、感じたことは言葉にならないことも含まれるため、すべてをきちんと書けなくても構いません。
無視していた「感じたこと」に光を当てる。まずは、そこから始めてみてください。思いがけず、場の豊かさや取り組むべきポイントを、発見出来るかもしれません。
そこであなたが見つけた場の豊かさは、あなた自身の豊かさでもあるのです。
(文・長田 英史)