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せっかちな場づくりでは動き出せない
最近、「せっかちな場づくり」が増えていると感じています。
例えば場づくり系のこんな連続講座、よくみかけます。
第1回:出会ってすぐに共通点を見つけて仲良くなって
第2回:必要なことをちょっと学んで
第3回:さぁ活動をスタートさせましょう!
(ちょうどいい補助金制度もありますよ!)
性急さは、大切なものをたくさん置き去りにします。僕は、場をつくるとき「性急さ」ではなく「自然な流れ」を重視しています。
「必要な時間」をかける
「時短」が叫ばれる世の中ですが、時間が長い・短い、効率が悪い・良いを考える前に、それを完成させるための「必要な時間」がどれくらいなのかを、イメージしたり計算したりする必要があります。必要な時間は「最適な時間」と言い換えることも出来ます。
例えば、知り合ったばかりの人と仲良くなるためには、相応のプロセスと、そのプロセスが展開するための時間が必要です。もちろん、仲良くなりたくて時間をかけても、なれないこともあります(残念だけど)。自然な流れに任せるしかない部分も存在しますし、自然な流れだからこそ展開するプロセスがあります。
いきなり見知らぬ人に肩を揉まれる悲劇のアイスブレイク
自然に任せないと、おかしくなる例は色々あります。
アイスブレイクだからといきなり隣の人から肩を揉まれたり、いきなり変なあだ名で呼びあったりとか、あるでしょう? もちろんそれを楽しく感じる人もいるでしょうが、多くの場合、とても不自然です。ちょっと考えれば分かることなのですが、手法に依存して自分の頭で考えなくなると、こういう悲劇的なアイスブレイクが行われます。
触れられたくない人に体を触れられた人の反応は、どういうものですか?
それは「緊張」です。アイスブレイクって、緊張するためのものではありませんよね。そもそも、「いまからアイスブレイクを始めます」って宣言した時点で、既に不自然です。あなたの緊張を解きほぐしますよ! なんてひきつった笑顔で言われたら、もう既にちょっとつらいです。
不自然さ・性急さは人に「無理」を強いる
アイスブレイクが必要なら、どうすればいいのでしょうか?
もし緊張している人がいる場合、自然な流れの中でその緊張が和らぐにはどうすればいいのか? そのためにはどのような配慮が必要なのか? それを自分の頭で考えるべきなのです。場づくりの観点からだと、まずそれを考えている自分自身の緊張に気付く必要があります。
人が緊張を解くには、相応のプロセスが必要です。いきなり肩を揉んだり揉まれたりすると、静まっていた会場がざわざわしてなんとなく盛り上がったように錯覚しますが、その「ざわざわしてなんとなく盛り上がったこと」と引き換えに、本来なら展開されたはずのプロセスが寸断されているかもしれないのです。
このような不自然さが、場にもたらすものは「無理させること」です。
不自然なまま時間が経過しているということは、その場にいる人たちに無理をさせているということなのです。この「無理」を無視して、まるで無理なんかしていないという感じで場をつくると、性急な場づくりになるのです。
まとめ:「待つこと」で場を支えよう
「性急にやろう!」
「せっかちな場にしよう!」
こんな風に考えて、場をつくることはありませんよね。いろいろなことを恐れたり、その恐れに気付かなかったり、企画段階で調整しなければならないことなのに現場で無理に調整しようとしたり、そうした結果、「性急な場づくり」になってしまうだけです。
例えば「待つ」ことが出来ないと、そうなります。
結果が出るまで待つ、自発的に動き始めるまで待つ。
待っているのに耐えられないと、急かしてしまいます。
また、「気まずさ」に耐えられない場合も同じです。
出会ったばかりでもじもじしていて気まずい。
会話がかみ合わなくて気まずい。
どちらも当然で、正当な気まずさです。
だんだん慣れて、緊張が解けていく。
いっしょに活動するなかで、だんだん理解し合っていく。
そうなると、「気まずさ」はいつの間にか消えています。
場をつくっている人は、待つことが出来なかったり、気まずさに蓋をしてしまうこともあると思います。でも、その結果として、せっかちになったり、「正解(正しい態度)」を押しつけて、無理させてしまうことになるのです。これではプロセスが展開する余地がなくなり、場は死んでしまいます。
せっかちな場づくりになっていないかな…?
深呼吸して、自分と場を俯瞰することが大切です。
…と以上で終わりなのですが、ちょっとだけ補足しましょう。せっかちにすべき場面もあります。
補足:急ぐ必然性があるときはちゃんと急ごう
例えば、残り1時間の場面で、自己紹介をするとします。
30人いて、1人2分。全員で60分かかります。
(実際には交代のロスタイムがあるのでそれ以上です。)
こういうときに、僕はよくこんな声かけをします。
「あと10秒です。・・・はい、終了です。それでは次の方お願いします」
こうして時間を管理して進めるのは、せっかちな場づくりではありません。ここは誤解してほしくないのです。リラックス至上主義の世の中ですが、なんでもかんでもゆったりがいいわけではないのです。
「せっかく楽しく話しているから…」
こんな風に感じて、話し手が時間を超過しても介入しない進行役がいます。ぱっと見ると自然な流れを重視しているようですが、これはじつは逃げているだけです。
気持ちは分かります。時間切れです、って言いにくいですよね。
でも、2分以上話す人が出れば、終盤時間がなくなります。追い詰められて「すみません、残りは1人30秒で!」とやったり、タイムリミットで人が帰ってしまったり…これでは台無しです。この場面では、厳密な時間管理は必然で、それこそが自然な流れです。
「全員が自己紹介をして、ちょっとだけお互い知り合う」というプロセスが展開するためには、一人あたりの時間を管理する必要があります。程度問題ではあるのですが、急ぐべきときは急ぎ、守るべき時刻は守りましょう。
必要なことは淡々とやります。気まずくたっていいんです。
自信を持って進めてください。
(文・長田 英史)