行動しようとするあなたに襲いかかる言葉とは?
新しいものを生み出そうとするとき、必ずどこかで抵抗が生まれます。「引きずり降ろしワード」もその一つ。この言葉は誰かからあなたに向けられることもあれば、あなた自身が自分に向けて発してしまうこともあります。
「引きずり降ろしワード」のパターンを知ること、自覚することで、あなたの場づくりは足止めを食らわずに、前に進めることができます。
あなたのことを引きずり降ろす言葉
「場づくり」の動機は、一人ひとり違います。でも、既存の日常に変化を加え、新しい何かをつくり出す。この点では、共通していると思います。そういう取り組みをしている人は、「引きずり降ろしワード」に遭遇することがあるのではないでしょうか?
パターン1:遠回りを促す
「もっと経験を積んだ方がいいんじゃない?」
こんな「遠回りを促す系」の引きずり降ろしワードがあります。
バリエーションとしては、例えばこんなものがあります。
「もっと勉強してからやれば?」
「まずは一人前に稼げるようになってからじゃない?」
「なにか資格をとってみたらどうかな?」
次のステージに移行しようとする相手に対して、まぁまぁまだここにいなよと、気勢を削ぐのです。あなたの気勢が削がれると、言った人はきっとほっとするのでしょう。
もちろん行動せずにもっと勉強するのも、構わずすぐに始めるのも、完全にあなたの自由です。
パターン2:日常の苦しさを正当化する
「たまにだからいいんだよね」
こんな「日常の苦しさを正当化する系」の引きずり降ろしワードも、意外にたくさんあります。
「毎日だったら、きっと飽きるよね」
「いつもがんばっているからこそ、楽しいんだよね」
「でも、私たちには似合わないよね」
旅行やお祭りなど、非日常的な体験の終盤にさしかかり、それが素晴らしいけど、日常はいまひとつ…。そんなときに、気持ちを落ち着けたくて、出てきてしまう。お祭りを毎日出来なくても、お祭りで出会った何らかの「要素」を、日常に持ち帰って、大切にすることは、出来るかもしれません。
ここに取り組むのか、日常を諦めるのか、それはあなたが100%の自由意思で選択出来ます。
パターン3:切り揃える
「将来はどうしていきたいの?」
計画をいろいろ聞き出して、相手を理解可能な状態にしたいという、「切り揃える系」の引きずり降ろしワードというのもあります。
「これからはどんな計画があるのかな?」
「この場を、全国に広げたいと思ってるの?」
「将来は大きな事業になるんだろうね」
穏やかな衣をまとっていることが多いこれらの言葉は、大抵、若い人たちに対して、彼らの上の世代から向けられます。いろいろ質問して、「なんだまだまだだな」と密かに思いたい人もいますし、「様子次第では一枚噛みたい」というしたたかな人も。
だいたい、こちらから求めてもいないのにアドバイスしてくる人は、こちらの都合ではなく、その人の都合でやっているのです。
引きずり降ろしワードへの対処方法
この「引きずり降ろしワード」は、それに遭遇した! と、自覚することが出来れば、別になんということはないのです。
怖いのは、知らないうちに、自分で自分に、「引きずり降ろしワード」を投げつけてしまうこと。それでは、動けなくなってしまいます。先へ進めないのです。
もちろん、なんでもイケイケでやればいいわけじゃないです。客観的に考えて、冷静に判断することは、もちろん大切です。いわゆる「勇気ある撤退」みたいな判断もあり得ます。
でも、場をつくってみることもしないで、そのことについて、あれこれ思いを巡らせていても、意味はありません。動き出すために考え始めたのに、「熟考を重ねた結果……、やめます!」では、なんのために考えたのかわかりません。いつ始めても、課題はやってきます。課題には取り組むしかありません。
励ましや助けを、受け取り合う
僕は、必要なのは「励まし」だと思っています。
あなたに向けられた言葉に、励ましではなく、引きずり降ろそうとするエネルギーを感じたら…。軽やかにスルーしましょう!
もし、いっしょに場をつくる仲間が元気を失っていたら、アドバイスよりも、励ましをあげてください。あるいは「なにか手伝えることない?」と、声をかけてください。自分自身に対しても、励ましや助けを受け取ることを、意識的にやってください。
削り合うか、励まし合うか、それで「場」は大きく変わります。
(文・長田 英史)