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自分が出来ることを軸に活動すれば本当の自信がつく
本当は出来ないのに出来るふりをして活動してしまう。逆に、あるところまで出来るのに、だれかと比較して「出来ない」と思い込んでしまう。そんなことはありませんか?
経験がないことをやるには?
あなたが、子どもたちを対象としたキャンプを開催するとしたら、まずどうしますか?もちろんキャンプ経験の有無によって、大きく変わりますよね。
キャンプが大好きで、楽しいことをたくさん知っていたら、活動のイメージが次々と湧いてくると思います。食事はこんなのが楽しい、川があればこんなこともしたい、夜にはこんな楽しみ方がある、でも危険もあるから気をつけないと…。こんな風に、自分自身の経験、喜びの記憶があれば、そこからイメージを膨らませることが出来ます。
一方、キャンプ経験がほとんどなかったら、どうでしょう?
キャンプ用品を扱うお店に行ったり、WEBサイトを見たり、類似したキャンプ活動のレポート記事を読んだり…。それでも、自分自身がその楽しさ、喜びを知らないのですから、子どもたちとどんなことをすればいいのか分かりません。こんな感じでやればいいのかな…とおぼろげなイメージは出てきても、確証は決して得られません。
理由は簡単。経験がないからです。
経験がなければ支援できない?
「広報」について成果を上げたことがないのに、広報を教えることは出来ません。「居場所づくり」についてまったく無知なのに、居場所づくりを支援することは出来ません。出来ませんよね…?
しかしながら、「出来ないのに出来るふりをしてやってしまう」というケースが、増えてきているように感じます。広報や集客をテーマにしたセミナーなのに、人が集まっていないというような、本当にあった怖い話も(笑)。
中間支援組織など、支援を専門とする組織の場合は、多様な団体を相手にします。コンサルタント業に同様です。「経験がなければ支援できない」が大前提なら、支援そのものが成り立たなくなります。すべての活動を経験することなど、出来ないからです。
それでは、この問題をどう考えればいいのでしょうか?
情報だけでは、活動を提供するには足りない
キャンプの話に戻りましょう。キャンプ経験がないのに子どもたちとキャンプに行きたければ、やるべきことは、ふたつあります。
・なぜ子ども対象のキャンプが開きたいのか、自問してみる
・大人だけでキャンプに行ってみる
まず、改めて、「なぜこの活動がしたいんだろう?」と自問します。すぐに答えが出なくても構いません。深めることが大切です。次に、実際にキャンプに行きます!ただし、大人だけで。
まだ、自信が持てませんよね?子どもを連れていくのは、タイミングが早いです。
自分がキャンプに行けば、楽しさが分かります。「この楽しさを子どもたちと共有したい!」そんな思いを持つことが出来たら、そこから始められます。WEBサイトや本からの情報だけでは、活動するには足りません。
出来ることを軸に考える
本当は出来ないこと、分からないことを、出来るふり、分かっているふりをしてやってしまう。こうした行動を「無責任だ!」と批判するのは簡単です。でも、パーフェクトにならなければ場をつくれないなら、世の中に必要とされている多くの場が消滅してしまいます。
発想が逆なのです。出来ないことではなく、出来ることを軸に考えます。
まず、出来ることは、正直に「出来ます」と言いましょう。知っていることは、そのまま「知っています」と言ってください。本当は出来ないのにあたかも出来るかのようにふるまっていると、だんだん自分に自信が持てなくなってきます。
出来ると言い聞かせるとか、どんどんチャレンジするとか、雑な前向き志向がありますが、それとこれとは話が別です。
出来ないことを出来るふりをして、自信も中身もないのにやってしまう。こうしてつくられた場は、どんなに装飾しても空虚です。場をつくっている当人は、それに気づいているはずです。これでは場をつくる充実感が得られず、元気も出ません。自信も得られず、自分が出来ることが何なのかまで見失います。
人と比較せず、自分が出来ることを自覚する
自信を持って、自分が出来ることから始めればいいのです。だれかと比べる必要などありません。そんなの無意味です。ピアノに触ったことがない人から見れば、ピアノを習っていた人は全員、「ピアノが弾ける人」です。
「いや、小3でやめたんです」
「バイエルちょっとやっただけだし」
「もう20年、ピアノに触っていません」
こういうことは、ピアノが弾けない人には、どうでもいいのです。
音大受験を目指す人にピアノを教えるのは無理でも、そこにあるピアノを弾くことは出来るはずです。これはもちろん例え話ですが、様々なことに共通しています。
だれかと比較して、「出来ない…」と短絡しないでください。あなたのいま出来ることで、やれることがたくさんあるはずです。
人を支援する立場の人でも、自分がどこまでならできるのか、それを見極め自覚することで、自信を持って支援活動を行えます。
自信を持ってやれる領域が曖昧だと、力が出ません。出来ないことを出来るふりをするのではなく、出来ることを「出来ます」と言う。そこから始まった場は、あなた自身だけでなく、その場にかかわる人に、安心と励ましを届けられます。
(文・長田 英史)