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「後継者不足」と悩む前に考えるべき3つのこと

「後継者不足が課題です」って本当ですか?

新しいメンバーが長年加入せず、メンバーも活動もくたびれてきてしまった場があるとします。

「新しい人が入ってきてくれない」
「後継者不足だ」

と悩みます。でも、大抵の場合、本当の課題は別のところにあります。

目の前の場は魅力的か?

「後継者が見つからない」と悩んでいる場合、その活動自体が魅力を失ってしまっている可能性があります。ちょっと客観的になれば分かるのですが、メンバーも活動も疲弊し、魅力を失った状態では、そこに入りたい人はいませんよね。それにもかかわらず、こんな風に問題設定してしまうことがあります。

・後継者が加入しないことが問題
・新しい仲間が増えないことが問題

問題はそこではないのですから、どこかで「新しい仲間の増やし方」を学んでも仲間など見つかりません。求める仲間と出会うためには、「場」の力を活かすことが不可欠です。

その1:場のアイデンティティを尊重しているか?

こちらのイラストは、場づくりのキービジュアルです。

長田英史著『場づくりの教科書』芸術新聞社(2016/09)より

人が二人描かれていますが、これは同一人物。主催者を表しています。
主催者の内面にある「思い」を、しっかりと「場」に反映させていく。それが「場をつくる=場づくり」ということ。

主催者は、自分たちの思いを活動にきちんと反映させているでしょうか? 初心にかえって、そのことをチェックする必要があります。
こういうケースでは、自分たちの初心に改めてきちんと触れていくだけで、活力が生み出される場合が多々あります。日常の雑事や、重要に見えて本当に重要ではないことにばかりかかわっていると、初心がすすけて見えなくなるのです。

その2:必要な変化を遂げているか?

初心というのは、立ち返るためのもの。そして、立ち返ったところから現在を見て、考えるためのもの。初心としっかりつながっていれば、変化を遂げることが出来ます。

「あれ? 初心を大事にするなら、変えちゃダメなのでは?」

そんな風に思う人もいるかもしれません。でも、それはちょっとおかしいのです。初心というのは、過去の自分たちがつくり出したもの。そこから時間が流れ、世界や状況が変化し、活動の中で達成されたこともあり、自分たち自身のなかにも経験知が積み重なっています。その上で正面から初心と現状の両方に向き合ってみてください。

その上で、「ここは変えよう」とか「ここはもうやめて、新しくこういうことを始めよう」とか、変化を起こしたくなることがあります。無批判にただ守るだけでは、守ることになりません。

その3:嫌々やっていないか?

魅力のある場には、黙っていてもだんだん人が集まります。でも、主催者自身がもう自分の場に魅力を感じられなくなってしまっているとしたら…?

場が魅力を取り戻せば、黙っていても人は集まります。後継者だって見つかるはずです。場の力とは、それほど偉大なものだからです。だからまず、いまいる人たちにとって、その場が納得のいく場であれるように、取り組んでみてください。順番は、目の前の場→後継者や新メンバーです。

もし、あなたがあなたの担っている役割を心から負担に感じていて、それを担うのが嫌ならば、後継者など探さずに、その役割から退いたり、場合によっては活動自体に幕を降ろしたりしてもいいのです。嫌なら辞めればいいのです。だれかが犠牲になることで成立する場が、人を本当に幸せにすることなどありません。

場づくりを支援する立場の人たち(プレイヤーではない人たち)は、往々にして「継続してください」「継続が大事です」などと簡単に言いますが、「終わりのない場」の方がずっと特殊です。

基本は主催者自身が楽しむこと!

場づくりをもっと楽しんでください。あなたが楽しめるように、場をつくってください。
すごくシリアスな場であっても、だからこそユーモアを忘れずに、充実感を持って取り組んでください。

あなたがそこで充実していること。
いいな〜、なんだか楽しそうで。そう思われるような場であること。それこそが、後継者不足解決の鍵になります。

(文・長田 英史)