メルマガ購読 お問い合わせ

アスリートのようにスイッチを入れる

あなたは「場づくりのスイッチ」をいつ入れますか?

あなたは、いつ「場づくりのスイッチ」をONにしますか?
気持ちが乗っている場合と、そうでない場合がありますよね。単に天気が晴れてて気持ちいいとか、雨で寒くて暗いとか。最近調子が良いとか、悪いとか。生身の人間ならいろいろあります。

だれでもどんな場合でも、スイッチを入れるべきタイミングは同じ。
場が実際に稼働する少し「前」のタイミングです。

スイッチを入れるのが遅い人が多い

実際は、場づくりのスイッチを入れるタイミングが遅い人が多いです。少し「前」が分かりにくいんですよね。

普通に考えたら、「午前9時から開始です」と言われたら、午前9時に「やる気スイッチオン!」となります。

でも、滑走前のフィギュアスケートの選手は、どうでしょうか?
ボクサーや格闘家は? あのイチロー選手はどうでしょう?

いずれも試合や競技など、自分の出番の「前」からスイッチを入れ、準備を整えています。場づくりには、こうしたアスリート感覚が必要です。

スイッチオンはハイテンションになることではない

スイッチを入れるというのは、別にハイテンションでいこう! という意味ではありません。無理したハイテンションを、日本語では「空元気」と言いますが、空元気は自分も周囲も疲れます。借金みたいなもので、その瞬間はわ〜っとなっても、あとで返さないといけないのです。

場づくりのスイッチを入れるというのは、それをやるのに最適なコンディションにシフトするという意味です。いろいろな場があるけれど、マイナスからのスタートではなく、せめてゼロから、場をつくっていきたいものです。

それには、始まる「前」に準備が整っていなくてはなりません。

いつスイッチを入れればいいのか?

さて、それではいつスイッチを入れればいいのでしょうか?

それは、場が開く少し「前」です。

例えば、あと数分で会議が始まるというタイミングで、すごくどんよりぼんやりしていたとします。どんよりぼんやりと、あなたは席に座っています(もちろん例え話ですよ)。定刻が来た瞬間に、照明のスイッチを入れるがごとく切り替えられますか?…これ、けっこう難しいのです。

それだけではありません。周囲の人も、開始前のぼんやりどんよりしたあなたを見ています。会議だったら、会議室に入る「前」にスイッチを入れます。

チームでスイッチをONにするには?

チームで場をつくる場合、しっかり「前」にスイッチを入れて準備している人と、そうでない人が混ざっていることがあります。

この場合、準備が整った人(ONの人)がまだの人(OFFの人)を支えています。つまり、準備が整っていない人が、準備を終えた人の負荷になってしまうのです。たまになら、なんとかなるかもしれませんが、こんなことが日常化すると場が整いません。生身の人間には、必ず限界があります。

そんなときは、スイッチを入れるタイミングを可視化します。

例えば、「20分早く集まって、気持ちをひとつにするために、みんなでお茶を一杯飲んでから始めましょう」と言ってみる。こうした声かけで、息を合わせることが出来ます。

とはいえ、これもまた、普段からアスリート感覚でやっている人は、「20分前の集まり」の「その前」にスイッチを入れます。

え…。それじゃ結局同じじゃないか!

確かにそうなのですが、「前」からスイッチを入れる感覚を、みんなで共有・体感する機会になります。

「開始前にコンディションが整っていると、違うね!」

こんな成功体験につながると、次はもっと簡単になります。
慣れてきたら次の段階に進んでもいいですね。例えばこう言ってみてください。

「明日はお茶の時間は取れないけど、それぞれスイッチを入れて集まりましょう!」

お客の立場でもスイッチは入れられる

さて、ここまでは主催者側のお話。
それでは、参加者側、お客さん側の場合はどうでしょう?

余談のような感じで気軽にお付き合いください。

飲食店編

飲食店に入ったときに、店内がしぼんでいることがあります。お客さんはゼロかまばらな状態で、静かで、店員さんたちは明らかにスイッチが入っていません。

これではちょっとつまらない…。帰りたくなります(笑)。

こんなときも、軽く場づくりを仕掛けることが出来ますよ。店員がぼんやりしていたら、笑顔でアイコンタクトする。お茶やお水を出してくれたら「ありがとう」と受け取る。

「エアコンが効いていて、ほっとするね」
「天井が高くて、気持ちいいね」

と、その店のよいところを口に出して言う。また、自分たちで勝手に前向きな話題を持ち出して話す。

こんなことをしているとですね、大抵場が良くなります。店員さんも元気になって、不思議とお客さんも増えてきます。

セミナー編

セミナーに、主催者でなくお客(受講者)として参加する場合も、場づくり出来ます。

主催者の場を支える力が弱く、講師も調子が上がらない。せっかく来たのに、これでは残念です。こんなときは、あなたが「最高の聴衆」になります。講師の目線に入り、リアルにうなずきます。

たまに話を聞かずにただ首を振る人がいますが、それはね、底の浅い小手先テクニックです。相手にも伝わりますよ!そうではなくて、ちゃんと話を聞くのです。

それで、「なるほど」と思えば、そういう顔をする。分からないことがあれば、「え? どういうこと?」と顔に出す。冗談には(いまいちでも)笑ってあげる(笑)。

エネルギーの交流が生まれ、停滞していた場が流れ出します。講師は調子を取り戻し、だんだん元気になってきます。そうすると、他の聴衆も引きつけられ、やがて盛会になります。まだそうした力のない主催者は、あなたの陰の場づくりに気付かずに、自分たちの手柄だと勘違いするかも(笑)。

スイッチは自分で入れる

いずれにしても、これだけは言えます。
スイッチは「自分で入れる」のです。

自分なりのスイッチの入れ方、切り替え方を何か決めて、楽しんでやってみてください。何でもいいんですよ。
入れ方は、アスリートや、ステージに立つ役者やアーティストなどからも学べます。

自分とはほど遠い!と感じたなら、それは誤解です。
彼らの舞台とあなたの場の本質は、まったく同じです。

場づくりは、いつも自分の内側から始まります。いつでもどこにいても、いま・ここ・私から、あなたの自由意志で場をつくっていくことが出来るのです。

(文・長田 英史)