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トップが陥る「たてまつり型」の疎外とは?

「たてまつり型の疎外」とは?

組織の中で「力の強い人」っていますよね。
権力があるとか、威圧的だとかいうことではなくて、頼りがいがあって、みんなの信頼を集めている人のことです。

「この人の言うことなら大丈夫!」

こんな風に、周囲の人から信頼されています。しかしこんな状況は、「たてまつり型の疎外」と紙一重だと言えます。

疎外とはどういうことか?

「疎外」というと、脇に追いやるイメージです。

「お前は黙ってろ!」

こんな言葉で脇に追いやり、仲間外れにしてしまう。権利を認めず、一段下の立場を強いる。こうした「引きずり降ろし型の疎外」は、わかりやすいです。
一方で、「たてまつり型の疎外」は、わかりにくいのです。

たてまつり型の疎外

「この人の言うことなら大丈夫」

ちょっと素敵な感じですが、でもその根拠は何でしょうか? ただの馴れ合いの可能性はないでしょうか? そんな風に言い切ってしまって、本当に大丈夫なのでしょうか…。

相手は生身の人間です。

「この人の言うことなら大丈夫」という態度は、発言者に気を取られ(誰が言ったのか?)、肝心の発言内容(何を言ったのか?)を吟味していません。その人の「言ったこと」に対して、自分としてはどう思うのか? 吟味すべき場面でも任せきりになって、考えることをやめていないでしょうか?

正しさという重荷を引き受けさせる

これでは、“正しさ”を一人で引き受けなければなりません。あなたが周囲に自分の思いを話しても、

「任せるよ、あなたなら大丈夫でしょ?」

で済んでしまう。いかにも親密なようですが、そのように扱われて疎外感を感じる人もいるはずです。

「このことは、みんなでちゃんと考えて決めたいのに…」

そんな風に思う人もいるはずです。

たてまつり型の疎外では、みんながその人の力を、あたかも自分の力のように利用している側面があります。たつまつられるその人が意見を述べる場面に立ち合うことで、周囲の人が、それを自分の意見だと錯覚してしまう。
一方、たてまつられる側も、そのスピード感や周囲からの反応を心地良く感じて、違和感を覚えつつも都合よくとらえてしまう。

緊密なチームにもありがちな「たてまつり型の疎外」ですが、一人ひとりが自分で考えて行動するという組織の骨格がだんだん蝕まれて、屋台骨を揺るがしかねません。とても恐ろしいことなのです。

たてまつり型の疎外に気付いたら…?

疎外というのは、関係性の問題です。

もし、たてまつり型の疎外に気付いたら、その気付きについて周囲に話すのが一番です。このとき、「AさんがBさんを疎外している」というような話し方ではなく、自分を主語にして話すことが大切です。

たてまつり型の疎外とは、一人ひとりが「私」という主語を失って、場で活動するようになるということです。だからこそ、「私=自分」がどう思ったのかをそのまま話して、「みなさんはどうですか?」と問いかける必要があります。

オープンな態度で話し合うことは、常にもっとも良い解決策のひとつです。怒りや誤解が積もる前に、気付いた時点で、そのことを素直に話すのが一番です。

たてまつり型の疎外は、基本的な組織理解の欠如や、会議などの意思決定の場の運営方法に共通認識がない場合、非常によく起こります。これらの点が曖昧な場合は、『場づくりの教科書』などで確認するといいでしょう。

(文・長田 英史)