会議で意見を変えることは「負け」なのか?
あなたは、会議などの話し合いの場で、自分の意見を変えた経験がありますか?
長い人生、何かに対する意見が、ある時点で変化する。これは当然起こることです。そして、そこには必ず相応の理由があるはず。
日々を生きていれば、絶えず新しいインプットがあります。知識が増え、関係づけて考えられる要素が増え、考えが深まります。そうすると、ある時点で最良だと考えていたことよりも、さらに優れた考え方にたどり着くことがあります。
新しい意見を持つことは、人が成長した証です。それにもかかわらず、自分の意見を変えることを「負け」だと感じて、頑なに意見を変えない人たちがいます。
「ただの頑固」と「軸がぶれないこと」は大違い
「新しい意見を持つことは人が成長した証」だと書きましたが、それを拒む態度は、個人だけでなくその場の展開・成長を止める力として働きます。
ひとつの会議のなかでも、同じことが言えます。
会議前には最良だと信じていた意見が、新しいインプット(他の人の意見や議論による深まり)を得て、考えが深まり、さらによい考えに導かれ、意見を変える。これは当然起こること。
よい会議の場は、短い時間で人を成長させてしまいます。
しかし、会議前に「自分の意見はこう」と考えを(コンクリートか何かで)ガチガチに固めてやってきて、「私の考えは◯◯です」と、もうAI以下、壊れたロボットのごとく同じ言葉を繰り返すことしかしない…これでは、残念過ぎます。そもそも「会議」を開く意味がありません。
会議では意見が変わって当たり前。意見が変わるような、力のある会議の場をつくりましょう。
大切なのはライブ感!「いま・ここ」に賭ける態度
このとき、大切にすべきはライブ感です。
「過去の私の意見」ではなく、「いま・ここで生成される私の意見」にフォーカスしましょう。それはライブであり、即興であり、予想のつかないドラマです。
会議などが始まる前に、「きっときょうはこんな感じにしかならないだろう」という考えが頭をよぎったとしたら、それはもう「意見を変えない人」に一歩近づいています。
「そんなことはない! 私は違う」
「自分は色々な人の意見を聞いて、合意形成が出来ますよ」
確かに、そうかもしれません。
でも、「きょうはきっとこんな感じにしかならない」というのは、過去を生きる態度。それは「私の意見は変わらない」という態度と、身体レベルでは一緒です。
「成功体験」を乗り越えよう
成功体験を得ることは、自信、肯定感、逆境に負けない強さなどにつながります。
しかし同時に、「これが自分の勝ちパターンだ」と考えて、具体的な「やり方」として定番化させることもありますよね。
すると、気づかぬうちに思考停止状態になり、変化の激しい世の中や、知らないうちに起こっている自分自身の変化に対応出来なくなってしまいます。
過去の成功体験という枠組みに、囚われてしまうのです。
一本の会議だけでなく、生き方においても、同じことが言えます。
「意見を変えない」という思考停止に陥らないこと。
自分自身に、変化することを許すのです。
このようなあり方が、場と人の可能性を広げてくれるのではないでしょうか。
(文・長田 英史)