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学生ボランティアにチラシ作りを任せていませんか?
NPOや地域活動団体の中には、チラシ作りなどを学生ボランティアやインターン(以下、学生ボラ)に担当してもらうケースが多いようです。しかし、チラシ作りの丸投げは、団体にとっても、学生ボラにとっても、その企画に参加したい人にとっても、良くないことばかりです。3つのデメリットと、解決策をまとめました。
「学生ボラにも役割を任せたい」という発想はNICE!
学生ボラが、NPO主催のイベントなどのチラシ作成を担当しているケースがよくあります。「チラシは学生さんが作ってくれたんですよ」なんていう話をよく聞きます。PC操作などが得意な学生が“活躍”出来る場面です。
学生がボランティアやインターンとして活動にかかわるなら、何らかの役割を任せて、参加体験をしてほしい。
そんな思いから、チラシ作りなどを任せるパターンは多いでしょう。しかし、そうして見せられた広報物の多くは、小綺麗だったり力作だったりしても、広報物としては求められる水準に達していないものが多いようです。「本当にこれをこのまま地域に配布して大丈夫?」と心配になります。
1.団体にとってのデメリット
広報物は、地域でその活動を必要としている人たち(まだ出会えていない人も含めて)と、活動との架け橋です。橋が崩れていては、渡りたくても渡れません。質の低い広報物は、地域であなたの活動を必要としている人を、結果的に活動から遠ざけてしまいます。
「いつも同じ顔ぶれで新しい人が来てくれない」
「ターゲット層が来てくれない」
こんな悩みをよく聞きますが、こうした団体の広報物はだいたいどれも低水準。配布先も知り合いばかり…。それでは結果が伴わないのは当然です。せっかく心を込めて準備をして、価値と魅力のある活動をしているのに、地域でその活動を必要とする人には情報が届いていないのです。
2.学生ボランティアにとってのデメリット
「パソコンが出来るから」
みたいな理由で、学生ボラに広報物作成を任せてしまう。
学生は真面目にワードやイラレでがんばってチラシを仕上げて、
「ありがとう! ステキだねぇ」
「若者のセンスはいいね!」
みたいになる。微笑ましいのですが、本当にこんなやり方でいいのでしょうか?
本当に集客効果のあるチラシが出来たのならいいですが、なんとなくセンスで作ったみたいなチラシは、見映えはよくても実効はありません。それは趣味のようなものだからです。せっかく意欲ある学生に参加してもらっても、これではおままごとレベル。彼らは力を発揮出来ないままになってしまいます。
3.地域で活動を必要としている人のデメリット
あなたの地域には、あなたの活動の場を必要としているのに、まだ参加していない人たちがいるはずです。チラシなどの広報物は、そういう人たちと活動を結ぶ架け橋だと、冒頭で書きました。
しかし、手に取って読んでも、自分が必要とする場なのかどうか判断が出来ない場合、そのチラシは架け橋になれません。さらに言えば、そもそも手に取る機会(目に触れる機会)がなければ、チラシは架け橋になれません。橋がないのに、渡れますか?
広報物は広報ルートとセットで考えなければなりません。いくら良いチラシが出来ても、配布方法も合わせて心を砕かなければ、必要としている人たちに届かないからです。
解決策&まとめ:こうすればうまくいく!
学生に広報物作成を任せること自体は、良いアイデアです。広報物はPC(デジタル)で作成しなければならないわけではありませんが、そういう操作に明るいということは有利でしょう。
- STEP.1ノウハウ本を一緒に探して選ぶ広報やチラシ作りや広報活動に関するノウハウ本を、学生ボラと一緒に探して、良さそうなものを選びます。広報物をつくるために必要なのは、趣味レベルのセンスではなく「学び」です。学びのないままいまある力だけで勝負させてしまっては、学生ボラにとっても分が悪すぎます。力を発揮するというのは、いまある力だけでなく学んで伸びていく力も含まれます。いまのままでいいんだよ、的な話とは別ですから、混同しないようにしましょう。ノウハウ本も、あてがうのではなく一緒に探すことで、より深い活動参加、社会参加の体験になります。また、依頼する側も、最低限の知識を身につけられて一石二鳥です。
- STEP.2広報プランを一緒に確認する担当する学生ボラに、広報物作成の目的、ターゲットとする人々、盛り込むべき内容、レイアウト案、配布方法(導線)と必要部数、制作・配布スケジュール、予算などをまとめた「広報プラン」を作ってもらって、それを会議などで確認します(ノウハウ本を読めばそうしたフォーマットが載っています)。
必要なら意見を出し合って修正し、「これでいこう!」と正式にGoを出しましょう。
その上で、実際にチラシなどの広報物を作成してもらい、配布します。 - STEP.3終了後は効果測定やふりかえりをするやりっ放しで終わらせず、①やろうとしたこと、②実際にやったこと、③その結果、④改善策をまとめたふりかえりシートを作ってもらい、会議などの場でふりかえりを行います。そして、1回だけでなく、出来れば継続して担当してもらいます。
広報物は、必要とする人との大切な架け橋です。軽視してはいけません。また、「学生ボラにやってもらおう」と丸投げしてしまうと、学生ボラも本来の力を発揮出来ません。活動のなかに「学ぶプロセス」を組み込んで、その上で経験が積めるようにしましょう。
(文・長田 英史)