はじめとおわりが肝心です
場には、「はじめ」と「おわり」があります。この2つの要素をちゃんとデザインしていますか?
誕生と死、とかそういう壮大な話ではなくて(笑)、例えばセミナーならその「はじめ」と「おわり」です。オープニングとクロージングと言い換えてもいいですね。
メインコンテンツを支える「はじめ(オープニング)」
その場がセミナーならば、メインコンテンツは講師の話ですよね。
だから、「はじめ」に時間をかけずに、早くメインに移ろうと、急ぎ足の進行になることがあります…。
僕の講演先などでも「せっかくだから、長田先生の話を少しでも長く!」と、定刻ぴったりにはじまって、1分くらいでマイクが回ってくることがあります(笑)。とても嬉しいのですが、会場の人たちはまだ準備が出来ていません。
その結果、必要な要素が抜け落ちてしまうことがあります。
僕はプロの話し手ですから、少々「はじめ」が不十分でも、嫌でもないですし、問題はありません。たとえ不足を感じても、その分を自分でやればいいだけの話です。
でも、話し手はプロばかりではありませんよね。
何かの実践者、研究者、色々な人が話し手を務めます。そんなとき、「はじめ」が不十分なままマイクを渡されると、話し手の負担になり、緊張させてしまうこともあります。話し手が緊張していたり、やりにくさを感じていたりしては、参加者も講師も主催者も、みんなにとって不利益です。
オープニングでは主催者が語るべきことがある
それでは、どうすればいいのでしょうか?
「はじめ」の時間には、主催者としてなぜ場をつくったのか、その日に成し遂げたいことや趣旨などを、話してください。大抵は冒頭の「挨拶」の時間に、言葉で説明されます。
伝達方法はどんな形でもいいんですよ。楽器を演奏する、歌を歌う、オープニング動画を流す…。主催者の自己満足でなく、参加者に伝わればOKです。場の種類に合わせて、自由に選んでください。
あなたが主催者なら、その会をどんな気持ちで準備したのか、それをぜひ自分の言葉で話してみてください。基本的にそれで十分です。
主催者なら、出るべきところでは前に出てください。
たまに、その日の趣旨を理解していない“偉い人”が、「それではご挨拶を…」と言って話す場合があります。こういうのはマイナス要因です。的外れな挨拶をして参加者に「あれ?」と思われ、企画名や講師などの名前を間違えたりして、「本日は別件があり、これで退席させていただきます」なんて言われると、だれのための“挨拶”なのか甚だ疑問です。
エンディングでは何をすべきか?
さて、「おわり(エンディング)」はどうデザインしましょうか。
一人ひとりが感想を言う、司会者や“偉い人”が挨拶する、懇親会や次回のインフォメーションをする…色々あります。
こんなときにも、ぜひ自分の言葉で、自分の感じたことを述べてください。
講師や登壇者、来場者への感謝の言葉とか、何か儀礼的な言葉が必要な場ならば、落ち着いてしっかり盛り込みます。そして、それだけで終わらせずに、自分の言葉でも話す。こうすることで、参加者は主催者に生身の人間を感じます。
あなたが準備した場なら、後ろに隠れずに、ぜひあなたの言葉で語ってください。それは、その場に参加した方々にとっても、必要な言葉にはるはずです。
(文・長田 英史)
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