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「つながり」をつくるだけで大丈夫?

「つながりづくり」の取り組みが、各地で展開されています

東日本大震災から今日まで、戦後これほど「つながり」や「絆」ということが叫ばれ重要視されたことはなかったのではないでしょうか。しかし、「つながりづくり=良いこと」だとするのは、場をつくる人としてはちょっと単純過ぎます。

つなげるだけでいいの?

AさんとBさんがいます。

二人には共有し得る目的があり、異なる強みを持っています。良い出会いがあれば素敵なコラボレーションが生まれそうですが、まだお互いを知りません。

そんなとき、「ある場」で二人が出会いました。

その場が、お互いの本当にやりたいことを話し合えたり、それぞれの強みや人柄が分かるような創造的な場なら、それは良い出会いになるかもしれません。

しかし、その場が、参加した人たちの良さが発揮されないような窮屈な場や、よくある嘘っぽい場だったら…? おそらくAさんとBさんのコラボレーションは難しいでしょう。お互いを発見出来ないかもしれません。

ただ出会う場をつくる、というだけでは足りないのです。もったいないのです。

「どんな場で出会うのか?」こそが重要

それでは、どんなことから考えればいいのでしょうか。シンプルですが、以下の3点をクリアにしてみるといいでしょう。

(1)どんな人たちにとって
(2)どんなつながりが出来ると
(3)どのように良いのか?

こんな風に考えてみると、「そのためには、どのような場をつくればいいのか?」ということを考えられるようになります。どんな流れがいいのか、どんな工夫が必要なのか、主催者として必要な準備が見えてきます。

仮に「つながりづくりは良いこと」だとしても、だれにとって良いのか、主体が曖昧では混乱した場づくりになります。ただ混ぜるだけでは“化学変化”など起きません。

「人の間に入る」のは難しい

つながりづくりの場をつくるということは、「人の間に入る」ということでもありますよね。そして、「人の間に入る」というのは、意外なほど考慮すべきことが多く、難しいことでもあります。喧嘩の仲裁なんて、難しそうですよね。

人を紹介するような場合でも、紹介者がいることでかえって話がややこしくなるのでは、意味がありません。

つなげたことで、つなげた人が満足してしまう。
紹介したことで、紹介した人が満足してしまう。

これでは、何のためにつなげたり紹介したりしたのか分かりません。

つなげられた人や紹介された人の満足にまで気を配ることが、本来のつながりづくりであり、人の間に入るということです。

(文・長田 英史)