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場の設計をするなら参加者のコンディションを想像しよう

場の設計をするなら参加者のコンディションを想像しよう

ファシリテーターにイラッとしたことは…?

「それでは、次は◯◯してください」

進行役やファシリテーターからこう言われて、自然にそう出来るときと、違和感や不快感を感じるときと、両方ありませんか?

「え? ぜんぜん時間が足りないよ」
「突然そんなことを言われても…やりにくいなぁ」
「いまそんなことやりたくないのにな…」

進行役が参加者のコンディションをイメージせずに、自分の都合で場を進めると、こうなってしまいます。

誰のために場を設計しているの?

主催者、進行役、ファシリテーター…。
場を事前に準備する人たちがいます。彼らはその場の目的を念頭に、それが達成されるように中身やスケジュールを考えます。

そのときに大切なのは、「参加者のコンディション」をイメージすることです。
参加者の人たちが、どんな場面で、どんな感じで存在しているのか? それを流れとして、鮮明にイメージしていきます。

こうした作業を抜きに設計される場は、主催者の都合、進行役の都合、ファシリテーターの都合ばかりが優先され、参加者はそれに「付き合わされる」ことになります。結果的に違和感や不快感を与えることになるのです。

コンディションの変化をイメージする

参加者のコンディションをイメージすると言っても、時間が経過し、アクティビティが変化すれば、参加者の心身は刻々と変化します。その変化のプロセスを、事前にイメージするのです。

ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが(実際、熟練が必要な領域も多いのですが)、簡単なところからも始められます。

以下、例題です。あなたならどうしますか?

いまは、数名のグループに分かれて、話し合っている場面です。各グループ、それぞれ盛り上がって話しています。

グループで話す時間が20分枠。
おそらく、グループに分かれて話し始める前にそのことを言いますよね?
(これを言い忘れてしまうようではいけません。)

「いまから20分間、グループごとに話してください」

例えばこんな風に声をかけて、グループの時間をスタートさせますよね。

さて、ここで問題です。
次は、いつ・どのようにして、全体に向かって声をかけますか?

「はい、終了で〜す!」

とやってしまうと…、多くの人は唐突に感じます。もっと話したいことがあった人は、小さなストレスを感じます(表現しなくても感じます)。話が突然打ち切られても、受け皿となる時間がこの後あるならいいのですが、そうでないなら、突然の終了はよくありません。

お店で食事していて、急に「閉店なのでお帰りください」と言われたら頭にきますよね。

こんなとき、あなたなら、どんな配慮をしますか…?

色々考えらるのですが、とても簡単なのは、

「15分経ちました! 残りあと5分です」

と、残り時間を知らせる方法です。「あと5分」だと分かれば、それに応じて動けます。あまり何度も言われても嫌ですけど、場の雰囲気やペース感によっては、1分前では遅すぎる場合があります。設計者が自分の都合ばかり考えず、こういうことに気づけるかどうかなのです。参加者になったつもりでイメージして、それを設計に反映させましょう。

気力・体力への配慮は基本中の基本

もうひとつ、例を挙げましょう。

参加者は、山道を30分歩いて会場に到着します。
到着したら「自己紹介シート」を書いてもらう段取りです。

しかし、到着して息を切らしたり汗を拭ったりしている人たちに向かって、「こちらのシートにご記入ください」と用紙を差し出すのは…、どうでしょうか。

ちょっと気が引けますよね。

30分も歩けばくたびれますし、汗だってかきます。お手洗いに行ったり、ちょっとほっとしたいです。着いてすぐ何かの用紙に記入など、したくありません。

イメージすればわかることですよね(笑)。

むしろウエルカムドリンクでも出したり、ちょっと座れるスペースを用意したり、やるべきことがあるはずです。

残念ながら、世の中には無配慮な場が溢れています。

細部がダメな場では成果は上がらない

場にいる人のコンディションをイメージすることで得られるのは、次の3つです。

・自然な流れ
・適性な時間枠
・細かな配慮

全体の企画はよくても、細部がダメ。そういう場が多すぎます。細部がダメだと、場の力は大きく削がれます。コンセプトが良くても、見た目が良くても、最新のコンテンツを投入していても、細部がダメならダメなのです。

まとめ:コンディションを意識すると場はどんどん良くなる

参加者のコンディションをイメージする。
換言すれば、相手の身になって考えること。配慮を積み重ねるということです。

そして、もしあなたが進行役なら、あなた自身のコンディションもイメージしてください。立ち向かうべき場面は多いかもしれませんが、なんでもかんでもアクセルを踏めばいいと言うわけではありません。
「疲れているのに疲れていないふりをする人」がいると、なんとなく周囲も疲れます。自己犠牲では良い場は生まれません。自分自身も計算に入れてください。

コンディションを意識するだけで、場はどんどん良くなります。
あなたの場でも、ぜひ試してみてください。

(文・長田 英史)