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気まずいときの対処法 場の力を信じよう

気まずさに耐えることも必要

気まずいことは悪いことではない

みんな「気まずさ」が大嫌いなんでしょうか?

多くの場では、小さな気まずさまでが過剰に恐れられていて、「気まずさは回避しなければならない」と考えられているようです。でも「気まずさ」があるのは、悪いこととは限りません。
場づくりには「必要な気まずさ」があり、それを避ければ、大切なものが失われてしまうことだってあるのです。

みんな気まずさに耐える力がなさ過ぎる!

長年続くれんげ舎の子どもたちの場にも、気まずさはあります。僕はそうした子どもの場で、この気まずさにうずうずしながら耐えています。

気まずさは、ふとしたタイミングで訪れます。実例を挙げましょう。

泊まりの行事で、二日目の朝が来たときです。昨夜まであんなに盛り上がっていたのに、しーんとしてしまう。みんなつまらなそうで笑顔がなく、くたっとしています。

もし何か問題があるなら、もちろん解決が必要です。でも、何がどうということはないけれど、ちょっと寒いとか、昨夜はしゃぎ過ぎてまだ眠いとか、なんだか気が乗らないとか…そんな理由からでも場のエネルギーは落ちます。

朝食の時間になり、集まって座っても会話もなく、なんだか妙によそよそしかったりして、ちょっと気まずい感じになっています。

こういうとき僕がやるのは、その気まずさを感じながら耐えること。耐えるといっても親しい子どもたちとの場なので、そんなに苦しくありませんが、でも耐えていることに違いはありません。縮こまってやり過ごすということではなく、「なんだか気まずいね」と、そこにある気まずさを認めて生きるのと同時に、「楽しくしたいな」という素直な願いに対してもオープンでいます。感情や願いにオープンでないと、余計なことをしてしまい、場を混乱させてしまうからです。

こんな風にしていると、やがて場が展開することがあります。

大抵、後ではもう思い出せないような小さなきっかけがあり、いつの間にか楽しい場のなかにいる子どもと自分に気付きます。子どもたちは気まずさを通り過ぎ、その先で楽しい場を展開しました。これは、雲が風に流されて晴れ間がのぞくのと同じこと。じたばたせずに耐えるのです。

仲良くなるために必要な時間とプロセスがある

新しく人と出会って、お互いに打ち解け合うまでには、相応の時間とプロセスが必要です。それまでの間は少し気まずいわけですが、これは「自然な気まずさ」です。

自然な気まずさなのに、「対処しなきゃ!」と焦ると、不自然な流れが生じて場が混乱します。打ち解け合うためのプロセスが疎外されることもあります。

よくあるのは、気まずさを過剰に恐れて無理にテンションを上げるパターンです。こういうのは空元気というのですが、空元気で場をつくると、見せかけだけは盛り上がっても、やっていてとても疲れます。そして疲れるのは、場を取り仕切って盛り上げている人だけではありません。

多くの場合、周囲は、その無理な高いテンションに「合わせるのか? それとも距離を取るのか?」という選択を迫られます。合わせるなら無理することになりますし、合わせないと場がぎくしゃくします。気まずさは倍増で、こういうことをして後悔した人も多いでしょう。

もしちょっと待てていれば、場はその場の力で、自然に展開したかもしれないのです。それを信じて待っている間は気まずいので、気まずさに耐える必要があります。

気まずい時間のあとに、宝物みたいな時間が訪れることがあります。それはなにげない時間の豊かさを再認識出来ることにもつながります。

気まずくても大丈夫! 場の力を信じよう

しっかり準備をして場に臨む、これは基本中の基本です。

準備不足が原因の場の不具合を修正するノウハウなどありません。しっかり準備をするからこそ場は力を発揮出来ますし、気まずさを感じても場の力を信じて待ったり耐えたり出来るのです。

でも、しっかり準備を完了して臨んだとしても、気まずい場面というのはやってきます。

アイスブレイクをしても飲み会をしても何をしても、気まずい時は気まずいのです。気まずさを別の何かで紛らわせても、それはなくなりません。結局、何か別の形でその気まずさに向き合うことになるのです。

気まずいまま場が終わったときの対処法

もし、気まずさを抱えたままその場が終わってしまったら、どうすればいいのでしょうか?

どちらの場合も、ふりかえりの時間を持ってみてください。

気まずさの原因や対処法、犯人探しを一旦棚上げします。いつ何を見て、聞いて、感じて、どんな気まずさを感じたのか? それをノートなどに書き留めて、チームで共有します。
特に「いつ?」という問いは、客観的になるために有効です。「なぜ?」と問いを立てがちですが、まずは「いつ?」と問いを立てて、気まずさを感じた瞬間をキャッチしてください。

こうすることで、自分が「気まずさ」を抱えたその瞬間に、周りがどうだったのかを知れますし、何がトリガーになったのかも見えてきます。

他の人たちがいつ何を感じていたのか。それを聞けると、たくさんの示唆が得られます。気まずさは、場づくりの手がかりにもなるのです。

(文・長田 英史)