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非日常の豊かさを日常に持ち込む場づくりの考え方

本当の豊かさを見つければ、日常は変えることができる

お祭りやイベントというのは、楽しいものです。そうした場のもつ「非日常性」は日常では得られない経験や感覚をもたらし、人々を魅了します。そして祭りが終わると、人々は変わらない日常に帰って行く…。

ということになるわけですが、本当にそれでいいのでしょうか?

非日常と日常の関係

祭りは楽しいけど、日常はつまらない。この“前提”に問題意識を持たなければ、日常はいつまでたっても変わりません。

世の中には、「祭りの後は変わらない日常」というのを、無批判に前提条件だと考えている人が大勢います。「どうせ日常は変わらないんだ」と、思い込んでいるのです。根本をあきらめて、あきらめの上に場をつくる人もいます。

でもそんな風に場をつくっていて、元気が出るでしょうか?

あきらめる必要などありません。場づくりは、最終的に「日常」に変化をもたらします。

盛り上がりではない豊かさを見つける

日常を変えるためのコツは、劇的な変化を求めるのではなく、非日常性を分割して日常に取り込むことです。日常を変えるというのは、「離婚して会社を辞めて流浪の旅に出る」みたいなことをする必要はないのです(もちろん、離婚しても会社を辞めても構いません)。

まず大切なのは、祭りやイベントなどの場のなかにあった「豊かさの本質」を見極めることです。

お祭りやイベントのような場には、それならではの高揚感があります。感動したり、気持ちが高ぶったり、エネルギーが湧いてきます。それらの感覚自体は本物なのですが、どれも一過性のものです。豊かさの本質は、一過性の高揚感ではないはずです。意識の高揚感に惑わされず、客観的に見極めます。(このことについて話し合うのも良い方法です。)

そして、日常に持ち帰りたい要素、再現したい豊かさがわかったら、それを分割して日常に持ち込むにはどうすればいいのか考えます。何かのテーマについて思い切り語ることが豊かさなら、年1回の大規模イベントではなく、月2回の小規模な場にする。そして、小規模でも豊かさの片鱗が再現されるよう取り組みます。

ここが場づくりのがんばりポイントです!

僕の経験から言えば、祭りのときとはちょっと趣は違っても、同じ豊かさが再現出来たときの喜びは大きなものでした。だって、日常が変わり始めたのですから。

「最高の祭りだった!」
「あんなにいいイベントはなかった!」

そんな風に思えたら、意識の高揚感をそっとさまして、あなたが感じた豊かさの本質は何なのか、見極めてください。仲間と話し合ってください。その話し合いの場で、その豊かさを再現してみてください。

地道なようでも、こうしたアプローチが日常を変えるのです。

(文・長田 英史)