根回しって悪いこと?
「根まわし」という言葉には、どこか陰謀めいた響きがあります。
多数派工作。裏取引。闇のつながり。
「お代官様もお人が悪い!」
「大黒屋、お前も悪よのう…」
みたいなイメージでしょうか(笑)。
れんげ舎の提唱する「場づくり」は、嘘や支配を排して、人と人を対等にとらえます。そのため、だれかを出し抜くような根まわしは御法度です。でも、根回しすべき場合もあります。良い根回しと悪い根回しがあるのです。
こんなときには根回しをしてみよう
さて、まずは良い根回しから。
次の会議で提案をする予定だが、ちょっと気が重い。なぜなら、Aさんがきっと反対するからだ──。
こんなときは、根まわしをするといいでしょう。
普段の付き合いから、きっとこの提案をしたらAさんが怒るに違いない…というような場合は、根まわししておきます。具体的に言うと、直接会って事前に相談することです。
「じつはこんな提案をしようと思うんだけど、Aさんはどう思う? 事前に意見を聞かせてほしくて」
こうして一対一で会って話せば、余計な混乱を避けられます。説得することは出来なくても、お互いの意見の違いなどを確認した上で、「それじゃあ、続きは他の人たちと一緒に会議で話しましょう」ということにします。
だれだって、事前に丁寧に相談されて悪い気はしません。大切なのは、丁寧かつ率直に話すことです。
根回しの事実を隠さない
上記のような根まわしをしたら、会議で全体化します(全体化とは、一部の人だけが知っていた情報を、全員で共有出来るようにすることです)。
会議で提案をする際にも、「これ、事前にAさんと相談したんですけど」と言いながら提案します。
根まわしは、全体から見えないところで行われます。これが見えないままで終わると、誤解を招きかねません。だからこそ、原則として全体化が必要になります。根回ししたら、最後は全体化する──こうすることで、良い根回しの完成です。
悪い根回しとは?
一方、「悪い根まわし」は、この逆です。
会議では、肝心のことが話し合われない。真相を知らされない人がいるのに、決まってしまう。
こんなことをやっていると、その時だけうまくいったようでも、だんだん亀裂が生じてやがて収拾がつかなくなります。
根まわしをするときは、「後で全員の前で言えるかな?」と、考えてみてください。これがひとつのバロメーターになります。嘘や作為がなければ、後できちんと全体化出来るはずだからです。
まとめ:運営に行き詰まったらマメな連絡をしよう
「根まわし」は、「マメな連絡」と言い換えることができます。
悪い根まわしにならないようにするためには、次の3点に注意します。
・一部の人が情報を独占していない
・実質的にそこで決定してしまわない
・特定の人の排除やコントロールを目的としていない
自分がされて嫌なことはしないこと。
単純なようですが、基本です。
「ちょっと意思疎通が難しいな。なんだか重いな」
こんな風に思ったら、マメに連絡をとって、個別に会って、根まわししてみませんか?
こうすることで、組織のなかのエネルギーの流れがよくなります。場の根っこに、新鮮な水や栄養が行き渡って、新たな気持ちで場づくりができるのはずです。
(文・長田 英史)